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連載ブログ[蹴りたいボドゲ] ~2040年に遊びたいゲームNo.1~「Earth Rising」

綾羽光陰
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「蹴りたいボドゲ」のはじまりです。
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ハローハローこんにちわ。

いきなり脱線気味の話になりますが、ドナルド・トランプ元大統領をモチーフにしたゲームをご存知でしょうか?
1989年に発売された「TRUMP THE GAME」というゲームは、約20年後の2017年にトランプ氏が大統領に就任した際にちょっとした話題になりました。 あの時、「プレイしてみたいけど、絶版でプレミア価格で手に入らねぇ!」と悔し涙を流した人もいるのではないでしょうか?

ゲームマーケット2017春、人の来ないブースで暇を持て余していた筆者は、ソリティアで遊ぼうと思い「トランプ買ってきて~」と友人に頼んだらプレミア価格の「TRUMP THE GAME」を買ってこられて涙を流しました。

さて、ボードゲームには、遊ぶのに適した旬の時期というものがあります。それが発売直後であるとは限りません。
今回取り上げるのは、20年後の2040年に旬がやってくる気がするプロジェクト。

「Earth Rising: 20 Years to Transform Our World」(以下、Earth Rising)の魅力と、蹴るべきか蹴らざるべきかに関して語っていこうと思います。

■概要

「Earth Rising (アース ライジング)」は、持続可能な社会を構築して環境破壊から地球を救うことを目指す協力ゲームです。

プレイ人数:1~6人
プレイ時間:90~120分(時短モード:45~60分)
対象年齢:11+
ジャンル:アクションポイント型協力ゲーム、環境・経済問題

■ドーナツ経済学

このゲームを紹介するには、まずは題材となっているドーナツ経済学に関して説明しなくてはならないでしょう!

ドーナツ経済学とは、イギリスはオックスフォード大学の経済学者ケイト・ラワース氏の提案した概念です。
噛み砕いて説明すると、自然環境を破壊することなく、貧困や格差をなくして、地球のみんなに優しい発展の仕方を模索するための経済モデルです。

こんなイメージ図なんで「ドーナツ」の名前で呼ばれてるわけですね。

ドーナツの緑の輪っかの部分、食べられる箇所は、バランスの取れた経済活動のエリア。過不足なく地球の資源を利用していける理想的な部分ですね。
一方で、ドーナツの内側の空洞は、人類の安全な生活のための何かが不足している状態です。このエリアにいる人の生活を助けるためには、何処かで地球環境に負担をかけないといけないんですね。
そして、その地球環境にかかる負担を表しているのがドーナツの外側の部分です。大気汚染や海洋汚染とかそういうのです。

要するに、地球環境にかかる負担を軽減しつつ、人々の安全な生活を確保するためには、ドーナツの過食部が大きくなるような方法を模索すればいいよね? っていう感じです。

「Earth Rising」は、このドーナツ経済学をゲームに落とし込んだ意欲作なんですよ!

■ゲームプレイ

「Earth Rising」のルールは「パンデミック」のような協力ゲームと似たり寄ったりで、プレイヤーがアクションを実行した後に、よくないことが起こるよってのを繰り返すだけです。

マップ移動のないパンデミックだと考えておけば、ルールの大枠はスッと頭に入るかなと思います。

というわけで、実際はどういうゲームなのかをざっくり確認して見ましょう。

■ゲームの目的

「Earth Rising」のゲームの目的は、2040年までに持続可能な社会を構築し、地球環境にかかる負担を無くすことです。この目標を達成すれば、プレイヤー達は全員勝利となります。
プレイヤー達は協力して、この目標を達成しようと試行錯誤をすることになるわけですね。

ゲーム中に、環境破壊が一定回数発生したり、2040年になっても地球環境に負担がかかった状態だったりするとプレイヤー達は敗北することになります。

■ゲームボードについて

見て見て!
さっきお話ししたドーナツ経済学の模式図を現したボードです!

ドーナツの輪っかの上に乗っかっているミープルは、安全に経済活動をやってる人々を表しています。ドーナツは6色に色わけされており、6種類の経済活動の分野を表現しています。いくつかのミープルの下にある丸いトークンは、「持続可能な方法」や「持続困難な方法」で経済活動していることを示しています。

一方で、ドーナツの内側にゴソッといるミープルは、貧困に苦しんでいる人を表しています。

そして、外側にあるピザの切り身みたいなボードは、地球環境にかかっている負担の種類を表しています。その上にある黒いトークンは負担トークン(Strain Token)と呼ばれる、具体的な地球環境にかかっている負担の量を表しています。

ゲーム中に、このピザの上にある負担トークンを無くすと、そのピザはひっくり返ってドーナツの内側に収まります。すると、ドーナツの可食部が増えて、安全な経済活動をするミープルが増えて、貧困に苦しむミープルの数がその分減ります。

そうやって、貧困から人々を救いながら、全てのピザの切り身をドーナツに変化させるとプレイヤー達の勝利となります!

■ゲームの流れ

「Earth Rising」は、手番のプレイヤーを時計回りにぐるぐる交代させながらゲームが進行します。

そして、プレイヤーの手番はこんな具合です。

1、カードを引く

手番のプレイヤーは影響カード(Influence Card)を2枚引きます。
影響カードは、人類の経済活動のやり方を表すカードです。それぞれの影響カードには、独自の地球環境に優しい「持続可能な方法」と、地球環境に優しくない「持続困難な方法」とが示されていています。

2、プレイヤーアクション

手番のプレイヤーは4回のアクションが実行できます。できるアクションは7種類あり、同じアクションを何度実行しても大丈夫。

具体的には、
・影響カードを使って「持続可能な方法」を提案する。
・影響カードを使って「持続困難な方法」を撤廃する。
・負担トークンを好きな組み合わせで4つ取り除く。
・他のプレイヤーに影響カードを渡す。
・影響カードの山札を捨て札と混ぜて再構築する。
・影響カードを1枚引く。
・キャラクターごとの特別なアクションをする。
という感じです。

3、負担の増加! 貧困編

貧困層のミープル3つにつき1つの負担トークンが発生し、各分野へとばら撒かれます。

4、負担の増加! 経済活動編

それぞれの分野に関して、「持続困難な方法」につき1つの負担トークンが発生し、「持続可能な方法」につき一つの負担トークンが取り除かれます。

5、そして一年が経過する

ゲーム時間で1年が経過します。
カレンダーデッキなるものが存在するので、それを1枚めくります。

最後のカードである2040をめくってしまうと、時間切れでゲーム終了となります。

テーマ的には、今年(2021年)にゲームが始まり、2040年までに持続可能な社会を構築することを目指そうというわけです。
ゲーム的には、20ターンでクリアしてねってことです。

■環境破壊が起こる!

ところで、貧困や「持続困難な方法」のせいでピザの上にどんどん負担トークンが溜まっていくわけですが、限界を超えると環境破壊が発生してしまいます。

環境破壊が起こると、以降のゲームでは、安全な経済活動をできるエリアがミープル1体分減ってしまいます。
さらに地球温暖化が進み、毎ターン発生する負担トークンの数が増加してしまいます。

そして、環境破壊が4度発生すると、残念ながらプレイヤーたちの敗北ということになります。

幸い「Earth Rising」は、ゲームボード上の情報から負担トークンの発生量が決まるため、環境破壊の発生を予測しやすいゲームです。
プレイヤー同士で協力して知恵を絞って計画を立てれば、環境破壊の発生を防ぐことは比較的容易なのではないかと思います。

■新しいものに理解を示さない人々もいる

しかしながら、現実世界でもそうであるように、計画がいつもうまくいくとは限りません。

その番狂わせを引き起こすのが、影響カードの中に紛れ込んだ「現状維持派の反発(Status Quo Strikes!)」というカード。化石燃料会社のロビー活動だったり、伝統主義者が復権したりとか、そういう古いやり方を好む人達がイチャモンをつけてくるわけです。
これを引いてしまうと、「持続可能な方法」が撤廃されたり、「持続困難な方法」に戻ってしまったりします。

ところで、プレイヤーアクションの中にあった「影響カードの山札を捨て札と混ぜて再構築する。」ってアクションを不思議に思った人もいるのではないかと思います。
そう、「現状維持派の反発」のせいで、影響カードは何度も使いたくなるんですけど、山札を再構築するとまた「現状維持派の反発」を引いてしまう可能性があるんですね。

■魅力的なプレイアブルキャラクター達

この手の協力ゲームでお馴染み、特別な能力をプレイヤーに与えるキャラクターももちろん存在します。

プレイヤーが操作するこれらのキャラクターは、環境投資家だったり気候学者だったり、やはり特定の分野におけるエキスパートです。

ここまではよくある協力ゲームの要素といった感じなのですが、「Earth Rising」では、彼らの能力は自分の担当する分野で「持続可能な方法」が実施されていればいるほど強力になっていきます!
「パンデミック」のようにゲームを通じて能力が固定されてはおらず、ゲームを通じて成長していくわけですね。

なお、「現状維持派の反発」の影響で能力がパワーダウンしてしまうアクシデントも起こり得ます。
ままならぬ。

■Earth Risingの魅力

「Earth Rising」の魅力は、なんといってもリアリティじゃないでしょうか?
環境問題というなんとなく実感の湧きにくいテーマを、2021年から2040年までという身近な期間で区切ることで、現実との連動感が生まれて独特な迫力が生まれています。

2040年に遊んで現実とのギャップを楽しみたくなりますよね。

また、ありきたりな協力ゲームと比較すると、
・ゲームの盤面と連動して成長するキャラクター能力
・盤面から予測しやすい負担トークンと予測不能な「現状維持派の反発」カードの組み合わせ
これらが、独特のゲーム感をもたらしてくれるような気がします。

ただ、ルールブックにゲーム終了条件や勝利、敗北条件をわかりやすくまとめておいてほしかったな……。

■パンデミックとの比較

協力ゲームの代名詞である「パンデミック」と比較すると以下の点が特徴になってくるかなと。

・テーマは環境問題
・2021~2040という具体的な期間、ターン数設定
・マップ移動はない
・ゲームの盤面と連動して成長するキャラクター能力
・盤面から予測しやすい負担トークン
・プレイヤーの使う影響カードの山札は再構築可能
・山札の再構築に伴う「現状維持派の反発」カードのリスク

個人的には「Earth Rising」の方がより戦略的で、「パンデミック」のマップ移動のように意味の薄いアクションが無くなった分ゲームの密度が増しているように感じます。

■日本語版の可能性

日本語版の可能性は……正直、かなり低いんじゃないでしょうか?

ストレッチゴールの300%ラインでようやくドイツ語版ですし。

ひょっとしたら、和訳付きで販売してくれるところがあるかもしれませんが、
テーマのウケが悪そうだからどうかなぁという印象。

しかし、協力ゲームのいいところは、プレイヤーごとの非公開情報が少ないことです。

幸い「Earth Rising」もプレイヤーの引いた影響カードは全て公開して遊ぶため、プレイヤー全員が英語が読める必要はありません。
最低限ルールさえ分かってしまえば、ゲーム中は英語は特に気にせずに遊べるようにできています。

そう、持ち主が英語を読めれば、あとは雰囲気で遊べちゃうわけですね!

■結論 蹴るべきか、蹴らざるべきか

以上を踏まえると、次のような人は「Earth Rising」をキックするのがおすすめ。

・協力ゲームが好き
・戦略的なゲームが好き
・英語のルールが読める
・2040年にもボードゲームをやっている
・環境問題に対して一家言ある

そうそう、「Earth Rising」の版元であるStop, Drop and Roll Gamesは、このゲームの売り上げの50%を慈善団体に寄付するんだそうです。

ということは、実質寄付、慈善活動ですよこれは!!

ゲームはその返礼品、購入には当たりませんよね?

つまり「Earth Rising」はとりあえず蹴るべきゲームと言えるのではないでしょうか?

それではまた!
アディオス=アミーゴ!!

(ゲームクリエイターズラボ第一期生 綾羽光陰)

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