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Interview
about Kickstarter

運営インタビュー「Kickstarterは創作仲間を集める場」

KS Navi編集部
KS Navi編集部

Bring Creative Projects To Life

人ひとりの力には限界がある。だから、そのアイディアに賛同してくれる仲間をネットで募集して、アイディアを形にしていこうよ。
という、「創作活動を支援する」システムがKickstarterです。
Headlines_見出し
  1. アイディアを実現するために仲間を集めるシステムがKickstarterです。
  2. Kickstarterを日本でやりたいというのは創業当初からの願いでした
  3. Kickstarterにとってクラウドファンディングは機能のひとつにすぎません
  4. Kickstarterはクリエイターが自らを鍛える場所でもあります
  5. 大きな支援者を得やすいというのも利点のひとつです
  6. 秘密裏ではなく大々的に発表して多くの人を巻き込んでほしい

アイディアを実現するために仲間を集めるシステムがKickstarterです。

 物を作るのって、楽しくないですか? 図工が得意だったわけではないんですが、僕は人が使っていないオリジナルの物を作るのが好きです。会社で使っている机も手作りです。

 実際に物を作ってみると、頭の中にあるアイディアを形にするのって、すごく難しいことがよくわかります。頭の中に「机にも食卓にもミーティングテーブルにもなるすごく便利なデスク」というアイディアがあっても、自分ひとりでそれを実現して「机」として誕生させるのは難しい。
 僕でさえそんなアイディアを持っているくらいです。世界には、アイディアの種を頭の中に持っている人がたくさんいます。芸術家はもちろん、学生さん、子ども、社会人、リタイアされた方。ありとあらゆる立場の方がアイディアをもっているのに、いろいろな事情で実現できていないという現状があります。

 アイディアの実現を阻む要素は、資金、ノウハウ、労力など様々です。でも、もしかしたらそのアイディアは、人々の生活を驚くほど便利にしてしまうほど素晴らしいものかもしれない。

 人ひとりの力には限界がある。だから、そのアイディアに賛同してくれる仲間をネットで募集して、アイディアを形にしていこうよという「創作活動を支援する」システムがKickstarterです。
 私たちはこの理念をひとことで表すとき、「クリエイティブなプロジェクトに生命を。」という言葉を使っています。英語でいうと“Bring Creative ProjectsTo Life ” ですね。未だ生を受けていないアイディア、クリエイティブなプロジェクトを形にするために命を吹き込みましょう、そしてこの世に誕生してもらいましょうみたいな意味です。

 Kickstarterはアート、コミック、クラフト、ダンス、デザイン、ファッションなどを生業としている方はもちろん、すべての方に開かれたシステムです。素晴らしいアイディアを持っている人なら誰でも、Kickstarterの仕組みを使って「クリエイター」(制作者)となってアイディアを実現できます。
 アイディアは持っていないけれど、いいアイディアがあったらぜひ実現に協力したいという方は「バッカー」としてアイディアをブラッシュアップする手助けをしたり、クリエイターの相談にのったり、お金を提供(プレッジ)したりできる。協力者もしくは支援者、出資者という意味合いが「バッカー」ですね。
 アイディアを実現したいというクリエイターや、クリエイターを支援したいバッカーだけではなく、世の中の人がどんなアイディアを持っているのか知りたいという好奇心旺盛な方にも開かれたシステムです。
 「何のアイディアもない」という人でも、もしかしたら、Kickstarterにアクセスしてほかのクリエイターと交流することで、自分の頭の中に眠っていたアイディアがぱっとひらめくかもしれない。そんな刺激的な場所でありたいと思っています。

Kickstarterを日本でやりたいというのは創業当初からの願いでした

 Kickstarterは、2009年4月にペリー・チェン、ヤンシー・ストリックラー、チャールズ・アドラーによって設立されました。コンサートをやりたいけど資金がなかったペリー・チェンが、その思いをネットで発表したんです。そうしたら、たくさんの人が賛同してくれて、コンサートは無事開催できたし、チケットも売り切れた。そこから立ち上げた仕組みなんですね。

 そして、創業者3人はみんな、創業当初から「Kickstarterを日本でやりたい」と思っていたんです。3人とも、日本のことをとてもリスペクトしていて、日本から生まれたカルチャーの中に、大好きなものがたくさんあるんですね。日本の文化を愛している。

 日本にはクリエイティブなアイディアをたくさんもっている人たちがいて、それを高いクオリティで実現できる下地もあるし、それを実現する技能を持った職人さんもたくさんいるということを知っていたんです。だから、本当に日本でやりたかった。Kickstarter創業から9年が経ちますが、彼らは、やっと日本でKickstarterができるという思いで胸がいっぱいだと思います。

 Kickstarter Japanが立ち上がるまでは、Kickstarterでバッカーにはなれても、クリエイターとして参加することはできませんでした。KickstarterJapanが始まったことで、バッカーとしてはもちろん、クリエイターとして世界中の人から支援を得られるというのは本当に素晴らしいことだと思います。

お金を集める作業だけではなく、その創作活動というプロジェクト全体を サポートできるプラットフォームがKickstarterです。

Kickstarterにとってクラウドファンディングは機能のひとつにすぎません

 Kickstarterは、自らのことを「クラウドファンディング(Crowdfunding:不特定多数の人がインターネットなどを経由して、他の人々や組織に財源の提供や協力などを行うこと)」とはあまり言わないんです。
 もちろん、クラウドファンディングを否定しているわけではありません。ただ、自称しないのは、「創作活動を支援する」というKickstarterの理念と深い関わりがあります。

 ここで、クリエイターがアイディアを世の中に出す「創作活動」の過程を考えてみたいと思います。
 まず、世の中に発表したいアイディアの種が頭にありますよね。友達と共有したり、みんなで飲みに行って熱く語り合ったり、職場だったら上司や先輩、学校だったら先生などにアドバイスをもらうわけです。そうやって、どんどんアイディアとそれを実現するという熱意が上がってきますが、実際に「やろう!」という決意をするまでのプロセスって実は案外、長いのです。

 決意をした後で、製品だったらプロトタイプを作りますし、アート作品だったら素描などをしてみたり、音楽だったらフレーズを作ってみたり、演劇だったらプロット(あらすじ)を書いてみたりするわけです。仕事だったら企画書を作りますよね。
 その「アイディアの種を人に伝えやすくあらわしたもの」を人に見せてダメ出しされたり、「ここはすごくいいけどここはダメだから直してみたら?」ってアドバイスをもらったりして改善していく中で、なんとなく形になっていくものです。
 それはどんな、音楽や演劇、工芸作品や映画でも、クリエイティブな作業はすべて同じだと考えています。

 そうやってアイディアをみんなで揉んでいって、「これならいける」となった後に、「本当に世に出すことができるか」例えば技術的に可能か、実現できるのかという問題になります。
 そこで初めて出てくるのが「資金」の話です。実現するにはお金が足りない、もしくは、もう少しお金があったらもっといいものができるのでは? という問題ですね。

 自分で資金を稼いだり、友達や先輩に支援をお願いしたり、親に援助してもらったりという選択肢のひとつとしてクラウドファンディングがあります。そうやって資金の問題をクリアした後に、実際の創作・制作活動が始まります。創作・制作活動の過程でも、いろいろな人に見せてその意見を取り入れて作っていって、できあがったものの修正を重ねて、ようやく完成するわけです。

 こうしてひとつの「創作活動」を見てみると、場合によっては1年、2年とかかるすごく長いプロセスの中で、「お金を集める」という作業って本当に一瞬ですよね。その、お金を集める作業だけではなく、その創作活動というプロジェクト全体をサポートできるプラットフォームがKickstarterです。Kickstarterは、自分のアイディアに賛同してくれる人を集めて、アイディアについて話し合って、そのアイディアを形にして世に出すまでのすべてをサポートする仕組みなのです。

 あくまでもクラウドファンディング機能は、プロジェクトをサポートする機能のひとつにすぎません。ですから、クラウドファンディングできる期間も最長2カ月と決まっています。
 クラウドファンディングはあくまでもプロジェクトの一部ですから、プロジェクトに必要なお金の全額をクラウドファンディングで集めてもいいですし、1000万円必要なプロジェクトで950万円は自分の貯金や仲間からお金を借りてまかなえたから、あと50万円だけKickstarterのクラウドファンディング機能を使って集める、という使い方ももちろん可能です。重要なのは、アイディアをプロジェクトとして実現するための仲間を集めてアイディアをブラッシュアップし、形にして世に出すということなのです。

Kickstarterはクリエイターが自らを鍛える場所でもあります

 Kickstarterは、クリエイターが創作活動というプロジェクトを実現する一連の過程をサポートする場です。
 これは同時に、クリエイターが自らを試す場、鍛える場でもあるということです。

 自分のプロジェクトを発表するプロジェクトページでは、バッカーを魅了することが最も重要です。そのために、どのようなプロジェクトで、自分がどうやってプロジェクトを実現したいかというタイムライン(時系列)を含めた概要をバッカーに対して示さなければなりません。また、プロジェクトをわかりやすくバッカーに紹介するために、写真やグラフ、イラスト、動画などを使ったり、文章をわかりやすく書いたりする必要があります。

 クリエイターは、Kickstarterのプロジェクトページを制作する過程で、頭の中にあるアイディアを人にわかりやすく説明するということがいかに大変かを体験することになります。

 プロジェクトを発表すると、バッカーからたくさんの質問やコメントが来ます。ときには、「なんでそれをやろうとしているのか、うまく説明できてないですよね」みたいな厳しいコメントも来ます。そういったコメントに誠実に対応して、バッカーの疑問に答えてコミュニケーションしていくのは、決して楽な作業ではないです。「ちょっといいアイディアがあるから、とりあえずお金を集めよう。それからアイディアを膨らませて形にしよう」という考えは、バッカーにすぐ見抜かれてしまいます。

 Kickstarterでプロジェクトを実現するためには、こうした作業を乗り越えても「やりたい」という強い気持ちが必要です。ここまでの過程で挫折してしまうようでは、それはまだ「クラウドファンディング」というKickstarterの機能のひとつを使って世間からお金を集めるまでに至っていないものだったということです。
 お金を集めるということは、そんなに気軽なものではない。世の中の人々が頑張って稼いだお金を、自分のアイディアを実現するために分けていただいて、自分がやりたいことをやるわけですから、その責任を感じていただきたいのです。

 ハードルは高いかもしれませんが、情熱があり、その情熱をわかりやすく人に伝えているクリエイターのプロジェクトは、必ず成功しています。クリエイターの成功したプロジェクトの内容や過程もすべてKickstarterで見ることができるので、まずはそういったプロジェクトをじっくり見て、実現には何が必要なのかを学び、大いに刺激を受けていただきたいと考えています。

写真:アンカースターオフィスにて撮影
http://www.anchorstar.com

大きな支援者を得やすいというのも利点のひとつです

 クリエイターとして実現したい、とてつもなく大きなプロジェクトがあったら、まずは小さいプロジェクトの成功をKickstarterで積み重ねるという使い方もアリです。

 例えば、一番やりたいプロジェクトが予算1000万円の映画制作だったとします。でも、Kickstarterを一度も使ったことがないのにいきなりその計画を打ち出しても、バッカーは支援しにくいかもしれません。
 まずは予算40万円のプロジェクトを発表し、制作する過程で自分の人となりをバッカーに知ってもらって、プロジェクトを実現させていく過程で自分の表現力や、プロジェクト運営の能力を磨いていくのもいいと思います。
 その過程の中で、バッカーがクリエイターのファンになってくれたら、「あのプロジェクトがとても良かったから、今後も支援するよ」と言ってくれるかもしれません。そのために、Kickstarterは、過去のプロジェクトのバッカーに「前回のプロジェクトを、応援していただきありがとうございました。また新しいプロジェクトを考えたので、もしよろしければ今回もご支援ください」などとコンタクトを取る機能を備えています。

 そうやって、たくさんのバッカーを得ているクリエイターは、プロジェクトをスタートして1時間以内に資金全額を集めていたりもします。公開前から、「このクリエイターのプロジェクトは絶対に支援したい」と思うバッカーが行列を作って待っているんですね。自分がクリエイターとして場数を踏んで成長していき、最終的には大規模なプロジェクトを成功させることができる「スーパークリエイター」になることも夢ではない場がKickstarterです。

 Kickstarterには「スーパークリエイター」と同様に、「スーパーバッカー」もいます。Kickstarterにはクリエイターはもちろん、バッカーをフォローする機能もあります。バッカーのページにはどのプロジェクトを支援したかが載っているので、「あのバッカーが応援しているプロジェクトは必ず成功する」「あのバッカーが支援しているプロジェクトはどれもとても面白い」ということがすぐわかります。バッカーをフォローすると「フォローしているバッカーがこのプロジェクトのバッカーになりました」という通知が来るから、スーパーバッカーが支持するプロジェクトは応援の輪が広がりやすいのです。
 もちろん、スーパーバッカーを魅了するだけの企画力や実行力が必要となりますが、大きな支援者を得やすいというのはKickstarterの利点のひとつです。

 クリエイターにもバッカーにもなれるのがKickstarterですから、ゲーム好きの映画制作者が自分の映画制作でバッカーを募りつつ、ゲームで才能があるクリエイターを見つけてバッカーになるという使い方もできます。自分がクリエイターになったり、クリエイターとしての技能やプレゼンテーションの能力を磨いていったりするだけではなく、クリエイターを応援したり、クリエイターが成長する過程を見て楽しみ、刺激を受けたりするなど、Kickstarterには表現の送り手も受け手も成長できる仕組みがいっぱいあります。そうやってクリエイターは創作活動を、バッカーは支援や協力で創作のワクワク感を共有することでKickstarterを楽しんで、刺激を受けてほしいです。

秘密裏ではなく大々的に発表して多くの人を巻き込んでほしい

 「秘密裏に進行したプロジェクトがある程度形になった段階で、大々的に発表する」ということは、今までも多くありました。アイディアの種の段階で発表してしまったら、他社や他人に盗まれてしまうかもしれないという懸念があったのだと思います。また、未完成のものを見せたくないという考えもあるのでしょう。

 でも、自分の考えをインターネットで発表して瞬時に多くの人の目に触れさせることができる現代では、すでに発表されている考えを盗めば世界中から批判されてしまいます。だったら、なるべく早くアイディアを発表して、多くの人を巻き込んで一緒に実現していく手法が現代に向いていると僕は考えています。

 また、「完成したものだけを見せたい」という価値観をKickstarterで変えていきたいとも考えています。Kickstarterが提供するのは人と一緒に創り上げていく共同作業の場ですから、「こういう手法を編み出したけどどう思う?」という段階でみんなと共有してもらって、その手法をより磨き上げていくプロセス自体を楽しんでもらいたいです。「未完成なものを見せたくない」という価値観の転換は、僕たちKickstarter Japanプロジェクトチームの大きなチャレンジのうちのひとつです。

 日本のクリエイターはとても独創的で、ほかの国の人では考えつかないようなアイディアをたくさん持っています。そのアイディアをKickstarterで発表して、世界中の人と共有しながらブラッシュアップしていって、バッカーと思いを共有しながら創作活動をしてほしい。バッカーはクリエイターと交流したり、リワードを得たり、創作過程の共有に価値を感じたりしながらひとりひとり違った楽しみ方をしてほしい。

 そして、その創作体験やバッカーとしての体験をどんどんKickstarterで発信して、「モノ作りや創作活動の楽しさ」を広げていってほしいです。「Kickstarterでプロジェクトを発表したら、バッカーから色々なことを言われて超大変だったけど、終わって制作物ができてみるとすごく楽しかったし、自分もクリエイターとしてとても成長できた」「バッカーとしてプロジェクトを支援することで創作活動の一端を担えて刺激を受けた」という体験談を通してKickstarterが広がっていくことで、今までだったら日の目を見ることができなかったプロジェクトに命が吹き込まれて、世の中にどんどん出るようにしたい。モノを作る人がもっともっと増えてほしい。それが「クリエイティブなプロジェクトに生命を。」というKickstarterの存在意義であり、理念でもあるのですから。


Profile
児玉 太郎
Kickstarter Japan カントリーマネージャー
Yahoo! JAPAN、Facebook カントリーグロースマネージャーを経て独立。アンカースター株式会社 代表取締役・グロースアドバイザーとして海外企業の日本進出を支援するほか、国内外企業間のパートナーシップ支援事業を行う。2017年、Kickstarter Japan カントリーマネージャーに就任。

Text by Mikiko Ishihara
Photo by Tetsuro Moriguchi

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