世界初・最大のクラウドファンディング「キックスターター」公式ナビ KICKSTARTER NAVI

KICKSTARTER NAVI

Interview
for Backers

なぜ、支援するのか。スーパーバッカーと呼ばれる人

KS Navi編集部
KS Navi編集部

2013年からKickstarterのバックをしはじめ、すでに600を超えるバック数をたたき出すスーパーバッカー。そんな彼から語られるKickstaterの魅力とは?

Headlines_見出し
  1. Kickstarterとの出会い
     マニアック中のマニアックがここにある
  2. Kickstarterだから生まれる商品がある
     「コレクター魂を揺さぶる企画力が魅力」
  3. 成功プロジェクトの共通点
     「600を超えるバック経験から共通点が見えてきた」
  4. Kickstarterとの付き合い方
     「バッカーとしてクリエイターとして」

Kickstarterとの出会い
マニアック中のマニアックがここにある

 ただのバッカーではない。スーパーバッカーと呼ばれるのが中川コージさん。Kickstarterでのバック数は、すでに600を超え、現在もバック数を増やし続けている強者だ。本業は学者である中川さんだが、実は日本でも有数の非電源ゲームコレクターでもある。「もともと非電源ゲームが好きで集めていたんです。いわゆるボードゲームやカードゲームと呼ばれる電源を使わないゲームですね。最初はメジャーどころを買っていたんですが、あらかた買い尽くしてしまって。では、どうするかというと、『ボードゲームギーク』というマニアックなゲームまで網羅されているサイトを参考に、海外から取り寄せて買い集める。それでも飽き足らなくなって、よりマニアックなものが気になってくる。そんな頃に出会ったのがKickstarterでした」と中川さん。
 Kickstarterの総プロジェクトの中で、最も数が多いのがゲームジャンル。「テーブルトップゲーム」というカテゴリーだけを見ても、1万3000を超えるプロジェクトがアップされている。中川さんは、それらのまだ市場に出回っていないKickstarterのゲームに魅力を感じたと言う。「いわばマニアック中のマニアックなわけです。もはやインディーズですらない。これは面白いなと思って始めたのが2013年のことでした」。

『Let them eat shrimp』というゲームに登場する中川さん。袴姿でサーフィン!

ディストピアを舞台にした『Euphoria』。中川さんが初めてカードになった商品

Kickstarterだから生まれる商品がある
「コレクター魂を揺さぶる企画力が魅力」

 中川さんがバックし続ける理由。それはKickstarterだからこそ生まれる商品があるからだ。「Kickstarterならではの魅力のひとつに、自分がゲームの中に入り込めるということがあります。ここに『Euphoria( ユーフォリア)』というゲームがあるんですが、実は私が登場しているんです」と、中川さんは1枚のカードを取り出して見せてくれた。たしかに中川さんのイラストがカードに描かれている。「ゲームのプロジェクトは、だいたい松・竹・梅にプレッジのランクが分かれていて、梅が普通のバージョン。竹が少しデラックス。松がかなりデラックスという感じで、それぞれ価格も梅が2000円、竹が5000円、松が5万円といった様に段階的に設定されています。『Euphoria』の松にあったのが、自分がプレーヤーカードとして登場する権利だったんです」。それを見た瞬間、本当にテンションが上がったと中川さんは言う。「だって、ゲームの中に自分が登場できるわけですから。コンピューターゲームであれば、主人公に自分の名前を登録してゲームを進めるというのはできるけれど、非電源ゲームで自分が登場するというのは本来は不可能です。でもKickstarterならそれができる。そこがKickstarterの魅力のひとつですよね」。ただ、600ものバックの中には失敗したプロジェクトも数多くある、と中川さん。「これだけ数多くのプロジェクトがあるので、もはや玉石混淆。クオリティが高くて、Kickstarter後にリテールして成功するなんていう商品は1000にひとつあるかどうか。でも、コレクターとしては、どれだけクオリティが低くても、それがKickstarterから生まれる限定商品である以上、買わざるを得ない。むしろ、人気がないものの方が、世界で100個しかないといった状況が生まれやすいわけで、それはそれでコレクターにとっての価値はありますから(笑)」

『Viticulture / Tuscany』のカードには夫妻で登場。爆発的ヒットの記録的商品

成功プロジェクトの共通点
「600を超えるバック経験から共通点が見えてきた」

 そんなスーパーバッカーの中川さんに成功するプロジェクトの共通点を聞いてみた。
 「さすがに600という数をバックしていると、プロジェクト詳細画面をぱっと見るだけでそのプロジェクトが成功するかどうかがわかります。見極めるポイントはいくつかあって、まずは動画です。動画の作り込みがきちんとしていて、尺も長すぎず、60秒から数分でまとめているということ。次にCGのサンプルではなく、実物の商品サンプルが写真で掲載されていること。3番目にストレッチゴール。たとえば、1万ドルが目標で、1万5千ドルになったら、新しいカードが付きます。2万ドルになったら、さらに新しいカードが付きます、というのでは、それが比例的過ぎるし、カードだけで全然面白さがないわけです。1万5千ドルになったら、カードの材質が変わります。2万ドルになったらインナーボックスに仕切りが付きます、といった具合に、きちんと考えて作られていることが重要です。4番目にリワード。松竹梅くらいに分かれていて、その価格が妥当であるということ。また、アーリーバードといって、最初に入れてくれた人へのサービスプライスのリワードが作られていること。たとえば、本来50ドルのところを最初の10人は40ドルにする。これは100ドル分のプロモーション費を払って、最初に来てくれるバッカーを呼び水にするという意味があります。Kickstarterでは、プロジェクトを立ち上げてから最初の48時間と最後の48時間で全体の8割のバックが集まるという統計があります。ということは最初の48時間でどれだけバックを集めるかが成功のポイントなんです」。こういった細かいところまでプロジェクトが考え込まれて設定されていることが、成功するプロジェクトの共通点だと言う。

『IKI』は自身がプロデュース。950万円を集め見事プロジェクトを成功させた

自宅を新築した際に作ったゲーム保管用の書庫。棚にはコレクションがズラリ並ぶ

Kickstarterとの付き合い方
「バッカーとしてクリエイターとして」

 中川さんのKickstarterへのバック方法は、さすがスーパーバッカーだけあって、普通ではない。基本的に毎日のチェックは欠かさず、画面のリロードボタンを何度もクリックする。新たに出てきたプロジェクトを即座に判断して、面白そうだと思ったら、どんどんバックしていく。日が経って合計金額が伸びていないようであれば、バックをやめる場合もあるが、基本はバックしたまま。「リワードも毎日のように届きます。ただ、私の場合は積みゲーといって、プレイが目的ではなくそのまま書庫に保管することがほとんど。そういう意味では、届くか届かないかというのは、そこまで重要ではなくて、バックした時点で満足してしまうんです」。
 スーパーバッカーの中川さんだが、自身でプロジェクトを立ち上げた経験もある。「海外の非電源ゲームを集めていると、よくあるのが間違いニッポン。海外の人が日本のイメージで作ったんでしょうが、その多くがちょっとズレているというか、間違えている(笑)。いまだに侍、芸者の世界ですね。だから、本当の日本を伝えたいという思いから、プロジェクトを立ち上げたんです。『IKI』というゲームは、もともと日本で流通していた『江戸職人物語(山田空太作)』を改良、英語版にして、Kickstarterのプロジェクトにしました。一番高いプレッジには、桐箱を付けたりして、本当の日本文化を表現したものです。これは特にヨーロッパの人たちに人気で、 950万円ほどを集めることができました。また、いま進めているのは、抹茶をテーマにしたトランプ。これで高い日本の印刷技術も紹介できる。押し売り型クールジャパンにならないように、日本人が日本製で日本文化をかたちにするというのをやりたい。日本製でユニバーサルなクールを狙おうと思っています」。

お気に入りのプロジェクト MY BEST 10

【No.1】 Viticulture / Tuscany
邦題は「ワイナリーの四季」。妻と私がカードに登場している

【No.2】 Intaglio – A Hand Engraved Print and Playing Card Series
完全手彫り銅板印刷トランプ。KSならではのプロジェクト

【No.3】 Twilight Struggleデラックス版
世界最高の呼び声高いゲームを木箱仕様にしたKS限定豪華版

【No.4】 Euphoria
ディストピア萌えにはたまらないゲーム。自身もカードに登場

【No.5】 Eclipse Phase, Second Edition RPG
伝説的SFのTRPG。ここにもキャラクターとして登場できた!

【No.6】 Let them eat shrimp
袴でサーフィン姿として自身が登場。間違いニッポン面白い!

【No.7】 THE AGENTS – A Doubleedged Cards Game
バイオハザード的兵器を使うキャラとして中川さんが登場

【No.8】 Nuclear War Card Game 50th Anniversary Edition
往年の名作を豪華版で復刻。一般市場では不謹慎で発売NGか!?

【No.9】 Coup – bluff & deception in the world of The Resistance
最高に好きなゲームが、KSプロジェクトでリメイク。完成度MAX!

【No.10】 Villages: a Construct and Conquer Card Game
自分の姿が8ビットのドット絵で登場するのが新鮮で面白い

Profile
戦略科学者
中川コージ
戦略科学者。SF愛好家で非電源ゲームコレクターでもある。北京大学院で日本人初の経営学博士号を取得。中国人民大学国際事務研究所客員研究員。経営学博士。
Instagram:@kozijp
mail:cafeblog@kozi.jp

Text by Taku Kazama
Photo by 39works

RecommendedArticles_ おすすめ記事