プロジェクトのポイント
- 最強クラスの「肩肘を張らない」クリエイターによるPJT。実はKSのベテラン
- 自転車レースゲームのシステム&世界観ともにほとんど日本と関係ないが、東京2020大会の会場として選ばれた「伊豆ベロドローム Shizuoka Japan」がフィーチャーされている。蛇足感がたまらない
- 自分でアイディアをまとめる→KSで世界にプレゼン披露する→資金を集める→近所のロハスな工房で作る…という最先端のファブレスビジネスモデルから、勝つためのマーケティング的要素をごっそり抜くと、このPJTになるのだろう。利益追求ビジネスにまみれない良心を思い出させてくれるクリエイターだ

プレッジ(支援)総額 ※8月10日 (残り6日)
¥650,571 (目標額¥61,115)
今回はいつもとは違った視点でご紹介するゲームPJT。まず気になるのがトップ動画。スマフォぶれぶれ撮影&ノー編集だ。昨今のKSゲームPJTには洗練されたものが多いので逆に新鮮味を感じる。動画内容は、PJTのゲームをテストプレイしてもらったお客さんたちの感想をつなぎ合わせただけというもの。ゲームルールの紹介でもない、ウキウキと楽しさを醸すBGMとともにカッコいいイメージ動画が流れるでもない…バッカーへの説明を完全に考慮していなくて、なんて商売下手なんだぁー!と、僕は人間味あふれるこのクリエイターさんが大好きになってしまった。
今回こちらのPJT「Velodrome (ベロドローム)」を紹介する一番の理由は、まったく冴えないPJTながらも、なんとこれまで14個ものKSPJTをこなしているクリエイターさんだったからだ。しかもご本人は相当楽しんでPJTをやってきた様子。悲壮感はまったくない。これはユニーク。
ゲーム自体はすべて木材加工のコンポーネントになっていて、民芸品みが溢れるものだ。クリエイターのゲビンさんがルール考案したオリジナルゲームで、「キュビコ」という工房で木材加工しているという。ゲビンさん曰く「キュビコがうちから庭越しに16メートルだけ離れたすぐソコだからさ! フレックスタイムだし、食事も自由で、最高の作業環境だよ!」とのこと。明るい、面白い。やる気がないのではなくて、とことん牧歌的なのだ。
ゲーム内容は2人から4人用の自転車レースゲーム。ゲームコンポーネントの画像にはオリンピック東京2020大会での自転車競技会場となった「伊豆ベロドローム Shizuoka Japan」と書かれている。自転車競技ゲームなので書かれたのだろうが、あまり静岡感はない。いや、一切日本のテイストはない。
ビジネスというドロっとした黒いものにまみれた僕は、あらゆる意味でマーケティング的な「売れる」仕組みを完全無視したゲビンさんのスタンスに惚れてしまった。ゲビンさんを真似たほうが良いということではないが、日本のクリエイターも、いっさい客(バッカー)に媚びずにKSで我が道を行ったアイディアで、じゃんじゃんPJTを出してみてほしいという代表例だ。
(中川セレクト)

Velodrome
ベロドローム
木製ボードゲーム
クリエイター:gavin birnbaum (ロチェスター, イギリス)
https://www.kickstarter.com/projects/570650480/velodrome

インタビュー
なぜ、支援するのか。
スーパーバッカーと呼ばれる人