
Kickstarter初挑戦で、2100万円を超える支援を獲得した岐阜の金属加工メーカー・シオン。金属製のつけペン「DRILLOG(ドリログ)」で大成功を収めた秘訣を聞きました。
まずはKickstarter (キックスターター)での成功が当面の目標だとしても、そのあとは!? 実はその先を見据えて動けば世界展開も夢じゃないのがKickstarter…というわけで、 「DRILLOG」を製造するシオンと、ブランド開発を手がけるHAFT DESIGN代表の秋山乃佑さんが、Kickstarterに挑戦した“本当の理由”を教えてくれました。
支援額2100万円超! 初挑戦のメーカーに聞いた“やってよかったこと”
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海外展開を考えているクリエイターが、今すぐKickstarterをやるべき理由
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DRILLOGを海外でも販売したいと思った時に、最初にキックスターターに挑戦したのはなぜなのでしょう? 素人考えだと、たとえば海外の文房具店などで販売するという選択肢もあったように思うのですが。
秋山:一見、そう思われますよね。でも、海外で物を販売するとなると、たとえばどんなことが必要になるかわかりますか?
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そう言われると、すぐには思いつきませんね…。
秋山:そうなんです。わかりやすいところだと物を送る時の送料がどれくらいかかるのか、展開先の国ごとの税金や法律など、まだまだ調べなければならないことがあります。ただ、これらを0からやろうとすると、何から手をつければいいのかすらわからないと思うんですよね。
でも、キックスターターに挑戦することで海外展開をするためにクリアしなければならないことや、課題が見えてくる。
キックスターターに挑戦したというと、「3000万円の支援を獲得した!」「1000人がプレッジした!」といった派手な面ばかりが取り上げられがちですが、僕自身はそれよりも“プロジェクトを進める過程そのもの”に注目しています。
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つまり、キックスターターでプロジェクトを実施することで、海外進出するための基盤が作れるということですね?
秋山:ええ、そうです。もちろん、プロジェクトを成功させることを最大目標として全力で取り組みました。ただ、発送や商品に関する問い合わせ対応、広報活動など、壁の一つ一つにしらみつぶしにあたることで得たものは、非常に大きかったです。
もちろんクリエイターにもよると思いますが、プロジェクトは出したら終わりではなく、商品の一般販売やシリーズ化など将来的にもっと大きな展開を考えている場合も多いと思います。
シオンにとってキックスターターは、この先ブランドをより長く続けて育てていくための入り口として最良だと感じました。
プロジェクトをやってみて得られた想定外のメリット
――プロジェクトの実施期間中に、従来のものから比べるとペン軸が25mm長いロングタイプを追加プレッジとして出されましたよね。これは最初から準備をされていたのでしょうか?
秋山:いや、実はまったく予定になかったんです(笑)。
DRILLOGは、もともとペン軸とペン先を自由に組み合わせて楽しむというコンセプトで作られたアイテムで、ペン軸をあえて短めに作っていました。そして今後、その長さを調整するためのパーツを出す予定だったんです。
ただ、商品レビューをお願いしたインフルエンサーさんや、バッカーさんの多くから「ペン軸が短い」という意見が寄せられたことがきっかけで、急遽ロングタイプを制作し、追加リワード(返礼品)として投入することを決めました。
ペン軸が25mm長いロングタイプ
KS限定カラーのロングタイプ
――では、インフルエンサーやバッカーから寄せられた声から、新製品が誕生したんですね。
秋山:そうですね。キックスターターをやっていなければ、このタイミングでロングタイプを発表することはなかったと思います。
――それにしても、わずか一か月というプロジェクト期間の中で、新商品を投入するのはすごいことですよね。
秋山:正確に言うと、原型となる型はあったのでひと月で0ベースから作った訳ではないのですが、シオンの技術力あってこそ完成したアイテムですし、山田さんをはじめとしたスタッフのみんなは本当に大変だったと思います。
ただ、山田さんと相談の上、当初の予定通りに進めるよりも、ここでロングタイプを出すほうがはるかにメリットが大きいだろうと判断しました。
――事実、この追加プレッジを出してから、さらに約800万円の支援額を獲得しましたよね。
ええ、そうですね。また、それ以上にバッカーのみなさんから寄せられた意見にすぐ対応したことで、DRILLOGというブランドをより印象に残してもらえたのではないかと思っています。
[この人に聞きました]
シオン
岐阜県美濃市で航空機や印刷機といった精密機器の金属加工を行うメーカー。オリジナルで開発をした、金属製のつけペン「DRILLOG(ドリログ)」が国内外で高い評価を得ている。代表の山田 健さんと、同社とともにブランド開発を手がけるHAFT DESIGN代表の秋山乃佑さん。
支援額2100万円超! 初挑戦のメーカーに聞いた“やってよかったこと”
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