
多くのメーカーとタッグを組みプロジェクトを成功に導いてきた、デイリー・インフォメーション社の中村さんが数々の経験を積むことで見えてきたゴール達成のための秘訣を教えてくれました。
Kickstarter成功のためローンチ前に「できること」
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キックスターターでプロジェクトをスタートしたいとは思うものの、成功するためには何をしたらいいのか、誰にきいたらいいのか、と迷う人がたくさんいます。今回は、さまざまな製品でのチャレンジを考えているクリエイターさんのために、これまで多くのメーカーとタッグを組み、キックスターターでのプロジェクトを成功に導いてきた、デイリー・インフォメーション株式会社 J FUNDING事業部の責任者・中村岳人さん が、数々の経験を積むことで見えてきたファンディングゴール達成のためのいくつかのヒントを、ご紹介します。(敬称略)
簡単なつくりでも、動画はアップしたほうがいい
――J FUNDINGさんではキックスターター向けのプロジェクトページ製作を多く請け負っているそうですが、ページ製作にあたり外せないと感じているポイントは?
中村:ひとつめは、新規プロジェクトを始める場合、ストーリーでの動画アップはマストだということ。動画がないプロジェクトは、ファンディングゴール未達で終わってしまうケースが圧倒的に多いです。弊社の分析では、これまでプロジェクトにアクセスしたバッカ―の半分以上、2人に1人が動画を再生しているという結果が出ていますので、動画の視聴性はひとつ、重要なポイントと言えるでしょう。
――しかし、「動画は苦手」という依頼主もいるのでは?
中村:そうですね。「動画を作るのは面倒」という声が聞かれるほか、「自分が前に出るのはちょっと…。何を喋ったらいいかわからないし」と尻込みされたりする方が多いのですが(笑)、バッカ―(支援者)側から見ると、現場の人間が動画に登場し、製品について話しているというのは何よりも強力なアピールです。オシャレでカッコいい動画も確かに注目を集めますが、「実直に作っています」感が伝わる動画を載せたプロジェクトは、成功している例が多いと思います。ですから我々としては作り手の方に「なるべく、動画に出演してほしい」とお話ししますし、現場の空気が伝わる製造工程も可能な範囲で撮影し、動画に組み込むようにしています。
――実際には、動画はどのように作っているのですか?
中村:キックスターターの公式ページには動画作りの基本が公開されていて、私たちもそちらの内容を参考に作っています。スマホを横置きにして撮影し、2~3分の尺の中で最初に人物が出てきて、商品について5項目くらい語り、その流れの中に商品画像を挟み込んでいくという簡単な編集です。予算があるのならば映像のプロに頼むのもいいと思いますが、製作費を抑えたいのであれば、そこまで凝ったものでなく、スマホで撮影&編集した動画でも十分にフィロソフィーの訴求はできるというのが、我々の実感です。
リターン設計で1万円以下の商品を用意しておく
――ほかにも、ページ製作に際して重要なポイントはありますか?
中村:2つめはCVR(コンバージョンレート=購買率)についてですね。我々は「3%」を基準としています。これは100人アクセスがあったら3人買っていくという、その率が3%を超えるというのがひとつの指標なのですが、3%を超えているプロジェクトには、ある共通点がありました。それは「リターン設計(Kickstarterではリワードと呼ばれる)で、1万円以下の商品を選択肢のひとつとして置いてあるかどうか」です。
1万円以下のリターン設計を設けた包丁の例
――たしかに送料まで含めて1万円なら、比較的プレッジしやすいですね。
中村:やはりリワード(返礼品)の金額がいきなり3万円、5万円と高額なものしかないと、バッカー(支援者)がプロジェクトから離れてしまうケースも多いのです。「この商品のコンセプト、すごく素晴らしいんだけどな……」とプレッジ(支援)を迷ったときに、送料込みで1万円以下の選択肢がひとつ置いてあるかどうかで、CVR(コンバージョンレート=購買率)を3%まで上げられるかどうかが左右されるように思うので、我々がページ製作を請け負った場合は、約1万円のリターン設計をするよう、お勧めしています。
1万円以下にメインの商品を設定することが難しい場合は、付属で使える小物などでの設定も
つづきはインタビュー第3弾「❸Kickstarterで他のプロジェクトに埋もれないためにしたいこと」
[この人に聞きました]
株式会社デイリー・インフォメーション
J FUNDING事業部 事業責任者 中村岳人
Official Kickstarter Exper
J FUNDINGは、日本の素晴らしい企画をKickstarterで実現させるサポートをしています。
日本、アメリカ、イギリス、台湾、フランスのスタッフで構成される7名のチームです
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