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成功者ウェビナーに学ぶ! ドキュメンタリー映画で海外進出する方法2021年山形国際ドキュメンタリー映画祭で開催された「Kickstarter Documentary Film Night」のウェビナーリポート! 海外展開や作品公開に役立つヒントが盛りだくさんです!

Kickstarterを使って「ドキュメンタリー映画を世界に届ける」方法

YUKO MORITA
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成功者ウェビナーに学ぶ! ドキュメンタリー映画で海外進出する方法

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<登壇者>
山崎エマ 監督
森脇ユウジ 監督
モデレーター:中田美樹 (Kickstarter Japan カントリーマネージャー)
※文中の日付などは、ウエビナー開催当時のままとしました


――今回は、すでにKickstarterで映画のプロジェクトを成功させたお二人にお話をうかがいたいと思います。まずは2016年に「モンキービジネス・おさるのジョージ著者の大冒険」のプロジェクトをローンチした監督の山崎エマさん、そして2021年に「BRING MINYO BACK」をローンチした森脇ユウジ監督のお二人です。よろしくお願いいたします!
まずは、山崎エマさん、自己紹介をお願いします。
山崎:よろしくお願いします。COVID-19の前は、東京とNYを拠点に活動していました。「おさるのジョージ」は、私にとって初めての長編ドキュメンタリー作品で、20代半ばの3年間、自分のすべてを捧げた作品です。Kickstarterで無事2000万円を集めることができ、映画を完成、日本でも2018年に公開することができました。
――世界的に有名な「おさるのジョージ」の原作者にスポットライトを当てた作品ですね。

山崎:はい、あまり知られていなかったのですが、原作者はユダヤ系のご夫婦。大戦中は、原稿を持って自転車でナチスから逃げたといわれています。その2人の人生を、おさるのジョージの物語に重ねて描きました。

――それでは、もうお1人。2021年5月に日本の民謡バンド「民謡クルセイダーズ」のドキュメンタリー映画プロジェクトをローンチした森脇ユウジ監督です。
森脇:僕は、長年東京で広告関係のドキュメンタリーの仕事をしてきましたが、どうしても自分の作品を撮りたくなって、Kicksarterで資金を募ることに。「BRING MINYO BACK」は今編集中で、来月(2021年11月)にスペインの映画祭に出品する予定です。
――この民謡クルセイダーズというバンドとの出会いについて教えてください。

森脇:ライブを観てすごく好きになりまして。それでライブ後にリーダーの方にちょっと撮らせてもらえないかとお願いをしました。

――なるほど。好きなものを題材にしたということですね。
では、なぜクラウドファンディングに挑戦しようと思ったのか、いきさつを教えてください。

山崎:この「おさるのジョージ」の製作は、大学を出たあと、大学で出会った仲間たちとコツコツと進めてきたものでした。ほかの仕事で稼いだ分を映画製作にまわす…といった感じでやっていたのですが、そのペースでやっているとあと5年はかかるといわれて。
問題は、制作費でした。題材が「おさるのジョージ」ということで、アメリカの公共放送やいろいろなところから興味は持ってもらえていたのですが、でもどこかに託すことになると、せっかくそれまで自分たちでやってきたことが自分たちのものでなくなる感覚が怖かったんです。自分の自由にやりたい、でもお金は必要となったときに、クラウドファンディングが理想ということに気がつきました。30日間で2000万円を集める、という目標金額は高かったと思いますが、いろいろちゃんと計算をしてそれくらいは必要、と。
――森脇さんはなぜKickstarterでクラウドファンディングしようと思われたのですか?

森脇:バンドがワールドツアーに出ることになって、それは面白いのでぜひ撮りたいとツアーに同行したんです。ツアー中のヨーロッパで、現地のコーディネーターから、スペインでIn-Edit (https://es.in-edit.org/en/)という音楽ドキュメンタリーのフェスがあるがあるから、それにちょうどいいのではと言われたんです。そこで調べていたら、その中にIn-Progress (https://es.in-edit.org/en/in-progress-3/)という部門があってKickstarterと一緒にやりませんか、と募集していたので、応募をしました。
――なるほど。それではプロジェクトをローンチするまでには、どのような準備が必要だったかについておききしたいと思います。

山崎:Kickstarterをやろうと決めてからローンチまで3か月かかりました。その頃はNYに住んでいたので、チームでKickstarterのオフィスに通っていろいろとアドバイスを受けて、目標にする金額設定など決めました。プロジェクトページにも、1冊の本になるくらいの情報を入れましたね。
あとローンチして最初の1、2日である程度支援金が集まっていないといけない、誰もバックしていないプロジェクトに知らない人は支援してくれないと聞いたので、最初の数日で目標の10~15%くらいが集まっているように、事前にこの日から始まりますのでよろしくお願いします、と根まわししてまわりました。映画好きだけでなく、おさるのジョージ好きの人たち、さらにユダヤ系の夫妻の話なので、ユダヤ系コミュニティへもアプローチしました。

――映画のプロジェクトの場合には、“映画を観る権利”などのリワード(返礼品)が多いですが、「おさるのジョージ」プロジェクトは、いろんなグッズも設定しましたね。

山崎:そうですね、やはり金額の大きいプロジェクトということもあり、Tシャツやマグカップなどいろんなリワードを設定しました。結果、プロジェクト達成後、毎日Tシャツを袋につめて発送…と本当に大変だったので、これからやろうと思っている方には、映画を見る権利のリワードとか、監督と話ができます、などなるべくデジタルで済む、でも価値のあるリワードをお勧めします。
――森脇さんはいかがでしたか。

森脇:2020年のはじめにとりかかったんですが、パンデミックになってしまい、いつローンチすればいいのかわからなくなってしまいました。プロジェクトページが下書き状態のまま1年が過ぎ、2021年になってやっとローンチさせました。実際、バンドメンバーと話したりしてリワードを決めたりなど、最終的に準備にかかったのは2~3か月だと思います。

――In-Editチームのほうとは、連絡をとっていましたか。

森脇:はい、2か月に一度くらいの頻度で、進捗状況などを報告していました。下書き段階で見てもらったときに、もうほぼ大丈夫と言われたんですが、そこからいろいろと詰めて仕上げるまでが一番大変でしたね。

――具体的に、どんなところが大変でしたか。

森脇:リワードを決めるところですね。Tシャツがいくらで、何枚作る、その制作費は…とか、レコードやCDもあったんですが、それはちゃんと調達できるのか、などです。1人ですべてやっていたのでとても大変でした。

――それでは、次にローンチしてから後のことについておききしたいと思います。
「モンキービジネス・おさるのジョージ著者の大冒険」は、“Kickstarter史上最も成功している日本発のドキュメンタリー映画プロジェクト”なのですが、成功の秘訣はなんでしょうか。

山崎:もちろん第一に、「おさるのジョージ」という世界的に人気のあるキャラクターというのがあると思います。人気の絵本やTV番組の裏側を描いたドキュメンタリーは人気があるのもわかっていました。でも、実際のところ私やチームのみんなで、「今まで生きてきた中で出会った人すべてに頼む」というところからやった、その小さな積み重ねも大きいと思います。例えばFacebookに1000人友人がいたら、全員に直接メッセージを送る、とか。また私自身がラジオに出るなど活動をしていく中で、通信社から記事として世界中に配信されたことも大きかったですね。それこそ世界中から反響がありました。
でも振り返ってみると、一番のポイントは、私たち20代の若者たちが、ものすごい必死になって何かやっているというのが人々の心に響いたことだと思います。私は締め切りが迫る中、毎日「今日は〇〇さんに会ってきます!」と動画を撮って生配信したり、わき目もふらずに頑張りました。その必死さがバッカー(支援者)の方たちにも伝わるんですよね。「自分が応援しているこのプロジェクト、せっかくあと少しで達成なのにこのままだとやばい」と友人に頼んでみたり、支援額を倍にしたりと、とにかく成功させるために応援してくださるんです。やはり“クリエイターがどれだけ真剣にやっているのか”を伝えるというのが、成功のためには大切なんだと思います

――いつしかバッカーたちもチームになっていた。

山崎:はい。本当に見守ってもらっている感がありました。最後48時間を残してまだ達成していなかったとき、「これ達成できなかったらどうするの?」とメッセージが届いたりしました。結局、最後24時間を残すところでついに達成したのですが、感動で声が出ず、泣いてしまいました。

――その時の感動が伝わってきます。

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――森脇さんはいかがですか。「BRING MINYO BACK」は日本国内からたくさんの支援を集めましたね。

森脇:やはり大勢のファンに向けてバンドのSNSで告知してもらったり、出演しているピーター・バラカンさんに彼のラジオ番組で紹介してもらったり、音楽雑誌でとりあげてもらったりしたことが大きかったですね。あとTwitter経由も多かったです。

――日本ではtwitterのコミュニティが大きいので、やはりTwitterは影響力ありますね。

森脇:それと「30万円でアソシエイトプロデューサーとしてあなたの名前をクレジット」というリワードを設定したんですが、まさかの開始3時間くらいで全然知らない外国の方が入れてくださって。またTシャツのリワードもすぐになくなってしまったので、アップデートで追加して、プロジェクトがアクティヴであるというのをアピールしました。

――そういった状況に合わせた対応も大切ですね。
それでは次に、達成当時の心境などを教えていただきたいのですが。

森脇:そうですね、ローンチ前は不安でドキドキだったんですが、ふたを開けてみたら、直後に30万円のリワードを入れてもらえたりバンドの告知もあったりで、寝て起きたら達成されていました…。

――ローンチまでが大変だっただけに嬉しいですね。
山崎さんはいかがでしたか。

山崎:いや、そんな寝て起きたら達成していたなんて羨ましい限りです。私は30日の設定で29日目の達成だったので、毎日が戦いといいますか。朝起きたら、まず今までやっていないことを考えて、なんとか支援に結びつけようとしましたね。やっと達成したときには、やはり安堵の気持ちが一番ですが、これでこのプロジェクトを完成させないと、という責任感も生まれました。それとともに、たくさんの支援をいただいて、1人ではない、たくさんの人々に支えてもらっていると感じました。

――振り返ってみて、もっとこうすればよかったという点はありますか?

山崎:そうですね、先ほども言いましたが、リワードの発送などがあんなに大変だと思わなかったので、事前に誰が発送を担当するのかなどよく考えたほうがいいと思います。発送しても住所が不完全で戻ってくることもあって、なんだかんだ1年くらいかかりました。
でも、やはりプロジェクトを達成したということが、何より大きかったです。そのことを知った配給会社など、いろんなところから問い合わせが殺到しました。またこれを26歳で成し遂げたということが、のちの私のキャリアの中でもとても大きくて大切なものとなっています。

――お金だけではない、大切ものを得られたというのはKicksarterとしても嬉しいですね。
森脇さんもお金以外で何か得られたものはありましたか。

森脇:すでに支援してくださった方が、300人以上も観てくれる人がいるんだ、と思うと勇気が出ますね。それと同時にプレッシャーでもありますが。

――それでは最後に、お2人の近況を教えてください。

山崎:「おさるのジョージ」公開後、「Japan’s Field of Dreams」という高校野球の映画を作りました。また東京オリンピックの仕事もしたりして、今はコロナ禍の小学校1年生から6年生をずっと毎日撮っています。
森脇:僕はKicksarterで達成した「BRING MINYO BACK」を編集しています。そして来月、再度スペインのIn-Edit(映画祭・前出)に上映しに行く予定です。
――本日はどうもありがとうございました。

[この人に聞きました]

山崎エマ

ニューヨークと東京を拠点とするドキュメンタリー監督。
人間の葛藤や成功の姿を親密な距離で捉えるドキュメンタリー制作を目指す

森脇ユウジ

「フリーランスとして約10年間、企業の広告やドキュメンタリーに携わっていました。この映画は私にとって初めての長編ですが、完全にインディペンデントで製作しております。この映画を完成させることをとても楽しみにしています」

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