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成功者ウェビナーに学ぶ! ドキュメンタリー映画で海外進出する方法2021年山形国際ドキュメンタリー映画祭で開催された「Kickstarter Documentary Film Night」のウェビナーリポート! 海外展開や作品公開に役立つヒントが盛りだくさんです!

「Kickstarter、海外映画祭にエントリー」魅力的なピッチをする方法

YUKO MORITA
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成功者ウェビナーに学ぶ! ドキュメンタリー映画で海外進出する方法

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<登壇者>
藤岡朝子:YIDFF 理事、山形ドキュメンタリー道場 代表
Elise McCave:Kickstarter フィルム シニアディレクター
モデレーター:中田美樹 (Kickstarter Japan カントリーマネージャー)


――今日は山形ドキュメンタリー映画祭理事、山形ドキュメンタリー道場代表の藤岡朝子さんとKickstarterのフィルムシニアディレクターのエリース・マッケイヴさんにお越しいただきました。
Kickstarterで資金を調達して作品を完成させ、世界の映画祭に出品するというのが一つのスタンダードになっていますが、まずはKickstarterのフィルムシニアディレクターのエリース・マッケイヴにいくつかの代表例を紹介してもらいましょう。海外映画祭で魅力的なピッチ(プレゼンテーション)をする方法についても、のちほどきいていきたいと思います。 Kickstarterフィルムシニアディレクター エリース・マッケイヴ
Elise:では最初に2017年にプロジェクトをローンチしたレベッカ・ハントさんの作品「BEBA」を紹介します。この作品はドミニカとベネズエラ移民の両親のもとNYで生まれ育ったレベッカと家族の個人的な物語です。とても高い評価を受け、本年度のトロント映画祭でプレミア上映もされました。そして最近、配給会社ネオンからの配給も決まり、世界中でこの作品が観られることになりました。
――素晴らしいですね!

Elise:次にショート・フィルムです。まず、2018年にローンチした英国の監督マット・ケイによる女性力士の映画「Little Miss SUMO」。こちらはロンドン映画祭でプレミア上映され、Netflixで2019年に配信されました。
またキラ・デインによる日本の入れ墨を題材にした「Horimono」は数々の映画祭に出品され、米国では非常にポピュラーなVICEニュースで配信されています。
さらに、プロジェクトページ作りの参考になる2本を紹介しましょう。最初の1本「Knock Down the House」(邦題:レボルーション:米国議会に挑んだ女性たち)はKickstarterのプロジェクトページがとてもよく作りこまれています。ぜひ参考にしてください。サンダンス映画祭で上映され、のちにNetflixで配信されています。 もう1本は、英語と日本語によるプロジェクトページが素晴らしい「The Chicken」です。こちらドキュメンタリーではなくフィクションですが、プロジェクトページ作成の参考にぜひ。
――Eliseが紹介してくれたように、Kickstarter→海外の映画祭→配信という流れがかなりスタンダードになっています。Kickstarterでプロジェクトを行うことで、資金調達だけでなく完成前からワールドワイドに周知でき、ファンもできる。つまり海外へのPR活動になるんですね。
それでは続けてKickstarterの上手な利用方法についても、Eliseに聞いてみましょう。

Elise:まずプロジェクトを映画制作のどの段階でローンチするかです。基本的にいつでもいいのですが、まずは、プロジェクトキャンペーンのための時間が十分にあるときがいいと思います。プロジェクトがローンチすると、バッカーからの質問に答えたり毎日何かしら対応が必要となります。なので映画そのものの撮影中でバタバタしている時はお勧めできません。
さらに可能ならばなるべく撮影などが進んだ段階がいいと思います。なぜなら、バッカー(支援者)たちに見せられる素材がより多く揃っているからです。やはり情報が少ないより多いほうが作品のイメージがしやすくなり、バックしてもらいやすくなる、というのはあります。

――ローンチに向けてはどんな準備が必要でしょうか。

Elise:まず、作品の内容を文章にまとめること。次に何をリワード(返礼品)としてバッカーに提供できるかです。そしてバッカーに伝えるメッセージ。それらのことが必要となります。

――どのくらい時間がかかるものでしょうか。

Elise:何もないゼロの状態からですと、2か月はかかると思いますが、ただ通常、皆さんすでに資金調達のためにピッチをされたりしていることが多いと思いますので、いろいろな素材が手元にあることが多いと思います。その場合4~6週間くらいだと思います。

――プロジェクトページ作成にはどんなものが必要でしょうか。

Elise:重要なのは「何故この映画を撮るのか」「何故自分が撮るのか」「何故今なのか」の3つのWHYです。この3つの要素を、説得力を持って説明できることが重要です。あとは監督の経歴やチーム構成、作品の内容、作るきっかけなどでしょうか。

――Kickstarterはクラウドファンディングなので失敗することもあります。失敗したらどうしたらいいのでしょうか。

Elise:当然失敗を恐れていると思いますし、実際失敗するプロジェクトはたくさんあります。でも失敗しても「設定金額が高すぎた」「準備が足りなかった」など必ず学ぶことがあるので無駄にはなりません。また途中でどうもうまくいきそうにない、と思ったら、プロジェクトをいったんキャンセルして練り直すことも可能です。なので恐れずに挑戦してもらいたいと思います。

――プロジェクトをやることでお金以外に得られるものはあるでしょうか。

Elise:いい質問ですね! もちろんあります。バッカーは作品のファンであり、ドキュメンタリーの世界を愛する同志でもあります。例えばですが、バッカーが撮影のためのロケーションを提供してくれたり、バッカーのミュージシャンが映画用に曲を提供してくれたり、と、バッカーたちがチームの一員になるということがよくあります。つまり、Kickstarterでプロジェクトをやるということは、自分のファンコミュニティーを育むということなんです。いろんな面でサポートをしてくれます。つまりお金では得られないものが得られるのです。

――ありがとうございます!

成功者ウェビナーに学ぶ! ドキュメンタリー映画で海外進出する方法

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――では次に、山形国際ドキュメンタリー映画祭理事の藤岡朝子さんに映画のピッチをするというのはどういうことなのか、聞いてみたいと思います。 YIDFF 理事、山形ドキュメンタリー道場 代表 藤岡朝子
藤岡:日本でもクリエイターの間でピッチ(短いプレゼンテーション)という言葉がだんだん市民権を得るようになってきていると思うんですが、まだまだ日本では米国のインディースとは違って、映画を完成させてから世に出すというやり方が多いかと思います。アメリカのように制作過程をどんどん見せていって賛同者を得るというのは新しい方法ですし可能性を秘めていると思います。

――そもそも何故ピッチをするのでしょうか。

藤岡:ドキュメンタリー映画の場合、企画マーケットにピッチする、ということだと思うのですが、多くのドキュメンタリー映画祭には、企画と賛同者をつなげるというフォーラムがあります。その“場”においては、ふだん自分たちが出会えない人、知り合うことができない人たちに作品や企画をアピールできる。つまりピッチをするということは、いろんなチャンスにつながるということですね。

――ピッチすることのリスクはありますか。

藤岡:ドキュメンタリー映画の世界にはサーキットと呼ばれる場があって、さまざまな企画が季節ごとにまわっているのですが、そこで何クールもまわっている作品は、ああお金がつかなかったんだな、とか新鮮味がないんだな、と思われるので、一つの作品を長い間ピッチしているのは、作品にとってもプラスにはならないかと思います。

――そうならないために、アイデアや脚本をうまくピッチに落とし込むにはどうすればいいのでしょう。

藤岡:やはり相手が求めるものに合わせるのではなく、先ほどEliseさんが言っていたように、自分にしか作れないものは何なのか、何をしたいのかだと思います。オリジナリティーとは、どこか他からアイデアを借りてくるのではなく自分の中から生まれてくるものですから。また、例えばローカルな題材であっても、そこに普遍的なテーマを添えることで世界でも理解されるものになると思います。

――Eliseはいろんなピッチを受ける側ですが、印象に残るピッチはありますか。

Elise:最近受けたもので、「Timebomb Y2K」という2000年問題を扱ったものがあったのですが、その2~3分にまとめたイメージビデオがとにかく面白く印象的だっただけでなく、ピッチを行うクリエイターたちが自信にあふれ、素晴らしいものでした。

――逆に即お断り!というNGピッチはありますか。

Elise:イベントが終わって、そのあとのパーティーの席で寛ごうとしているメンバーにさらにピッチをするのはお勧めしません。熱意を伝えたい!と思うかもしれませんが、受ける側は一日中ピッチを受けて疲れていて、リラックスしたいのです。ですから決していい印象は与えません。目安として日が暮れたらスイッチを入れかえるとよいと思います。

――日本のドキュメンタリー企画に合う、藤岡さんお勧めのピッチイベントはありますか。

藤岡:欧米にはたくさんのピッチングフォーラムがありますが、日本だとTokyo Docsという、ドキュメンタリーの国際共同製作を含む海外展開を支援するための国際イベントがあります。また韓国にはDMZ国際ドキュメンタリー映画祭というのがあり、日本の企画を探しているという話をよく聞きます。カナダのホットドックスなど有名な国際映画祭はいろいろありますが、大きいところに食い込んでいくのはなかなか大変だと思いますので、小さなところを狙う、というのがいいのではと思います。ホットドックスなどでは商業的なドキュメンタリーが求められるのに対してフランスやスイスにはもっとアート的な作品が求められるイベントもあるので、それぞれの映画祭の特性をよく調べるといいのでは。

――国際的フォーラムにピッチしようと思ったら、やはり英語にしないといけませんか。

藤岡:そうですね、国際的なものでしたら英語にするのは必須ですね。内容説明もそうですし、映像には英語の字幕をつける必要があります。なにか質問をされたら、通訳をとおさずに英語で回答できたほうがよいですし。英語の勉強を頑張ってください。

――ピッチにおいて一番大切なことは何でしょうか。

藤岡:人の目を見て堂々と話すことでしょうか。日本人は苦手とする人が多いのですが、ピッチでは自分に自信がある、というふりをしないといけません。

Elise:作品のポイントを端的に伝えることです。監督は概してイメージするのは得意ですが、言葉にすることはあまり得意ではないと思うので、鏡や友人の前で練習して、映画について話すことに慣れてほしいと思います。そうすれば質問などがきても端的な言葉ですぐに答えることができるようになると思います。

――それでは最後に藤岡さんとEliseに一言ずついただいて終わりとしたいと思います。

藤岡:作品は自分の子供、という考えがあると思いますが、ピッチにおいては「商品」だと思って相手に営業する気持ちで臨むといいと思います。頑張ってください。

Elise:たとえ固まっていないアイデアであっても、共有することを恐れないでください。ピッチではクリエイターの熱意やビジョンが大切です。完成していなくても、そのビジョンに共感すれば応援してくれる人たちがいるので、恐れずに一歩を踏み出してください。

――ありがとうございました。

[この人に聞きました]
藤岡朝子

理事、山形ドキュメンタリー道場 代表

成功者ウェビナーに学ぶ! ドキュメンタリー映画で海外進出する方法

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